十干は,天干と呼ばれており,天から与えられるものや天の流れを意味しています。
ネガティブな要素では,天災も含まれています。
流年(毎年の気運)では,十干が十二支よりもはるかに影響力が強く,その年に私たち人類が,天から与えられるテーマを示しています。よって,流年では,十干の影響を十二支の影響の2倍として考えます。
甲(きのえ)
・春になって樹の芽が殻を破って出てきた姿を表している。
・物事の始めを意味し,その芽がぐんとのびると伸(のびる)とつながります。
・はじめという意味から,十分に慎重に慎んで行うことにもつながる。
・新しく始めるところから,法令,制度を意味し,新しい生命力の新たな創造,開発の意味もある。
・また,人間の習性として,改革,革新をやらず,だれてしまい,なれるという意味もある。
乙(きのと)
・ 甲で殻を破り,春気に応じて芽を出したのは良いが,外界の寒気,抵抗に遭って紆余曲折する様子を表す。
・ああでもない,こうでもないと紆余曲折,悩む状況を意味します。
・草木の芽が曲がりくねっており,新しい改革創造の歩みを進めるけれども,まだまだ外の抵抗力が強い状態です。しかし,いかなる抵抗があっても,どんな紆余曲折を経ても,それを進めていかねばならぬということにつながります。
丙(ひのえ)
・陽気が一段とはっきり発展している。
あきらか,強い,生命,エネルギーが高いという意味があり,伸張する年を示している。
・丙の漢字は,陽気が囲いの中に入る。
すなわち,物事は盛んになりっぱなしはない,生命,創造の働きは無限の循環であることを示している。
・ 盛んになったからといって有頂天になることは愚かであることを意味する。
・衰えることは,やがてまた盛んになるという未来を含んでいるので,落胆する必要はない。
・老いたら老いたで楽しみもあれば,力もあることをこの文字は示している。
丁(ひのと)
・従来の丙の動きが,なおまだ続いている。春から伸びてきた陽気の最終段階である。
・やや陽気は末期で沈んでくる。
・在来の勢力に対抗する新しい動きを示している。
・新旧勢力の衝突を意味している。
まとめると,
盛んという意味と同時に,やや盛りを過ぎて末期に向かいつつあり,対抗勢力との衝突を意味している。
戊(つちのえ)
・樹木が茂る,繁栄することを意味しており,風通しや日当たりが悪くなって,虫がついたり,うら枯れしたり,根上がりしたりして,樹木が痛む,悪くすると枯れることになる。
・思い切って,剪定しなければならないことを意味する。
まとめると,
「植物が繁茂するように,物事が繁栄し,繫雑化するにしたがって,無駄を省き,簡略化することに努めることを意味する」
己(つちのと)
・鞘の先の新芽の意味がある。
・その抑屈し曲がっていた鞘先の新芽が曲がりながらさらに伸びてくるから,己は起のもとと言われている。
・とにかくひん曲がり悪がたまりになることを表す。糸のかがまりを示す。
・糸のもつれを伸ばして,紀律を正すこと。
まとめると
「糸のかがまりをを真っすぐに伸ばすこと,つまり,筋道を通すことを意味する」
庚(かのえ)
・継承,継続。償う。更新。3つの意味がある。
・革命にもっていかず,進化にもっていく。
・庚の3日前は,丁の日に当たり,丁は丁寧の意味,庚の日に遅れること3日は癸の日に当たる。癸は揆度(はかり,はかる)の意味。政令などを変更するときは,始めに丁寧に考慮し,また,変更した結果がどうなるかを十分に揆り(はかり)はかって,実施に移せば良い結果が出ると言われている。
まとめると
「前年からのものを断絶することなく,いろいろの罪,けがれを払い浄めて償うとともに,思い切って更新していかねばならないことを意味している」
辛(かのと)
・辛は上と干と一の組み合わせで,下なる陽エネルギーが敢然として,上に出現する形であり,庚を次ぐ革新を意味する。上をおかすの意味がある。
・その際,殺傷を生ずることがある。
・鋭い刃物でぴりっと刺すこと。刺すような痛みを感じること。
・味で言えば,ぴりっと舌を刺すような「辛味」を表す。
・人事で言えば,つらい,むごい,ひどい,きびしいなどの意味がある。
・辛苦,辛酸,辛艱(しんかん:苦しい悩み)の熟語も生まれる。天からの力でなぎ倒されるのをじっと辛抱しなければならないとの暗示がある。
・斎戒(心のけがれを清めることを斎といい,身のあやまちを禁じることを戒という)自新(自分で態度や心などを一新する)を要するものである。
壬(みずのえ)
・胎児が大きくなってお腹がふくらんでいる姿を表す。
・人偏つけると任となり,仕事や任務で,いろいろな問題を担わなければならないことを意味する。
・その問題を処理できる立派な人物が多くでてこなければならないことを意味する。
・へつらうの意味もあり,意思が弱く,人にへつらう任人(立場が上の人や他人に気に入られるために機嫌をとったりお世辞を言う人。 人のなすままに任せる,人の言いなりになる人)。
すなわち,口先だけの信用のおけない人間を意味することもある。
まとめると
「壬の年は,人事に最も注意を払わなければならない。大切な役目を信用のおけない任人が担うようになると
問題をはらみ,深刻な事態になる」
癸(みずのと)
・癸は百姓一揆の揆と同じで,物事をはかるという意味がある。
・物事をはかるには,標準や原則がいるので,則や道という意味にもなる。
・よって,万事則・道,つまり筋道を立ててはかる,考える,処理するという意味になる。
・筋道を誤る(なくする)と,物事が混乱し,結果としてご破算にしなければならなくなる。
よって,ならすという意味もある。
まとめると
「万事筋道を立てて物事を考え,処理していく。それを誤ると混乱し,ご破算にならないとも限らない」
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