周波数変動を調整するための対策を解説[施設管理28]

 

瞬時変化する系統周波数の変動要因となる負荷変動の形態(サステンド,フリンジ,サイクリック)とこれによる周波数変動を調整するための対策について説明する。

 

目次

  1. サステンドの要因と対策(10数分以上の長周期変動分)
  2. フリンジの要因と対策(数分〜10数分程度までの短周期変動分)
  3. サイクリックの要因と対策(数分以下の微小変動分)
  4. まとめ

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1.サステンドの要因と対策(10数分以上の長周期変動分)

  

(1)負荷変動の周期成分の区分

 

10数分以上の長周期変動分(サステンド分=曲線B)

 

(2)変動要因と負荷変動の形態

 

工場・事務所の始業・終業,電車のラッシュ運転,夕方の照明などで,ある時間内に増加または減少する負荷となるもの

 

(3)周波数変動を調整するための対策

 

中央給電指令所では,曜日,天候(気温,湿度など),特別なイベントなど,負荷に影響を及ぼす様々な要因を考慮してその前日に予想負荷曲線を作成する。

 

それをもとに経済運用(EDC運転),供給信頼度などを考慮して立てた各発電所の運転スケジュールにより運転する。

 

出力分担を決める場合は,ベース供給力に自流式水力,地熱発電,ベース火力および原子力を,中間供給力に中容量火力(当初ベース火力として運転していたものを熱効率の若干の低下を前提にDSS[毎日起動停止]運転や最低出力限度の低下などの改造を行ったもの)や中間負荷用火力を,ピーク供給力にガスタービン発電,揚水式水力,調整池式水力,貯水池式水力を割り当てる。

 

2.フリンジの要因と対策(数分〜10数分程度までの短周期変動分)

  

(1)負荷変動の周期成分の区分

 

数分から10数分程度までの短周期変動分(フリンジ分=曲線C)

 

(2)変動要因と負荷変動の形態

 

電車の運転・停止,大型電動機等の始動電流,圧延機の負荷電流,その他の負荷の変動が不規則な負荷変動となるもの

 

(3)周波数変動を調整するための対策

 

電力系統の時々刻々と変動する周波数を監視し,発電所の出力調整により周波数制御する。

 

火力や水力発電所に設置されたAFC(自動周波数調整装置)による調整をベースに,中央給電指令所で周波数を監視し,周波数偏差が大きくなった場合は,その後の負荷変動,発電力変化を考慮に入れながら,給電指令で特定発電所の出力を調整して補正する(LFC運転)。

 

3.サイクリックの要因と対策(数分以下の微小変動分)

  

(1)負荷変動の周期成分の区分

 

数分以下の微小変動分(サイクリック分=曲線D)

 

(2)変動要因と負荷変動の形態

 

事故等による発電機のトリップ,送電線等の事故による負荷遮断,負荷の変動が不規則で,短時間の負荷変動となるもの

 

(3)周波数変動を調整するための対策

 

AFC(自動周波数調整装置)では調整しきれない速い周波数変動成分であり,変動幅は小さいので系統の自己制御特性により吸収する。

 

系統の自己制御特性は,負荷の自己制御性(周波数が上がると負荷の消費電力も増加,周波数が下がると消費電力も減る性質)と,水力・火力発電所に割り当てられたガバナフリー運転(調速機で電力系統の周波数を検出して,自動的に調定率に応じた出力調整を行う)の発電機で与える。

 

4.まとめ

 

瞬時変化する系統周波数の変動要因となる負荷変動の形態(サステンド,フリンジ,サイクリック)とこれによる周波数変動を調整するための対策について説明しました。

 

各周波数変動の要因とその対策について,整理してください。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう! 

 

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