半導体交流無停電電源装置の解説[施設管理38]

コンピューターなどの電源は,停電や大幅な電源降下を避けるために,最近では半導体交流無停電電源装置(UPS)が用いられるようになっている。

UPSの基本的な回路構成および役割について説明する。

 

目次

  1. UPSの基本的な回路構成
  2. UPSの役割
  3. まとめ

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停電や電圧降下によって支障をきたす負荷は限りなくあるが,瞬間のような短時間の停電や電圧降下が問題になる負荷の代表的なものとしてコンピュータがある。

 

このような負荷に対して無停電で交流電力を供給する装置がUPS(Uninterruptible Power System)であるが,負荷の重要度(数サイクル程度の瞬断も問題にするか,しないかなど)によって,それに適した装置が用いられる。

 

1.UPSの基本的な回路構成

 

最も単純な基本的な回路は以下の画像のような回路である。

 

すなわち,

 

①交流を整流器によって直流に変換する。

 

②電池に電力を蓄える。

 

③電池の直流をインバータによって交流に変換して負荷に電力を供給する。

 

このようにすれば,一応,交流電源が停電しても負荷には無停電で電力が供給される。

 

しかし,先に示した回路構成ではUPSそのものが故障すると停電になるおそれがある。

 

このため,以下の画像のように並列冗長回路(二重化)としたり,バイパス回路を設けるなどして,適宜必要な信頼度を保つようにしている。

 

インバータ用素子としては,最近はパワートランジスタやGTOなど自己消弧形素子が用いられ,効率化,小型化が図られている。

2.UPSの役割

 

負荷が要求する電気の質は,負荷によって異なるが,概ね以下の程度が必要である。

 

・電圧変動:定格値の10%以下

 

・周波数変動:定格値の1%以下

 

・瞬断:3〜10ms以下

 

・波形歪率:5〜11%以下

 

このような要求に対して,UPSは次のような役割を果たす。

 

(1)無停電の電力を供給する。

 

入力電源が停電しても,電池からインバータを介して負荷に交流電力を供給する。

 

ただし,負荷が数サイクルの瞬断を許容するときは,常時はバイパス回路により商用交流電源から電力を供給し,電源停電時に電池からインバータにより電力を供給する方式とすることもある。

 

(2)供給電力の電圧,周波数を安定させる。

 

入力電源の電圧,周波数が変動しても,負荷に供給する電力の電圧,周波数を一定に保つ。

 

(3)負荷に適した周波数に変換する。

 

インバータによって,入力電源の周波数を負荷に適した周波数に変換する。

 

(4)ノイズの除去

 

入力電源と負荷の間に直流回路があり,また,インバータ出力と負荷との間に変圧器を設けるなどするので,入力電源から負荷へのノイズの侵入を防ぐことができる。

 

3.まとめ

 ☆これまでになかった新電験論説攻略法の紹介☆

 

コンピューターなどの電源は,停電や大幅な電源降下を避けるために,最近では半導体交流無停電電源装置(UPS)が用いられるようになっており,そのUPSの基本的な回路構成および役割について説明しました。

 

UPSは雷サージ対策にも有効ですので,耐雷設計にもご検討ください。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!