低圧回路の感電防止対策を解説[施設管理35]

低圧回路で使用している電気機器に絶縁不良が発生したとき,感電上の見地から次の各場合の相違を説明する。

 

目次

  1. 機器の外箱等にD種接地工事が施してある場合
  2. その回路に電流動作形の漏電遮断器が取付けてある場合
  3. 機器の外箱等にD種接地工事が施してあり,かつ,その回路に電流動作形の漏電遮断器が取付けてある場合
  4. まとめ

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以下の画像のような低圧回路について解説する。

 

E:低圧回路の電圧,i:接地電流,RB:B種接地抵抗,RD:D種接地抵抗とし,漏電遮断器は定格感度電流15mA,動作時間が0.1秒以下の電流動作形とする。

 

1.機器の外箱等にD種接地工事が施してある場合

 

図のように機器に人間が接触した場合,高圧に受ける電撃(接触電圧)を低くすることが重要である。

 

図の場合の接触電圧は,E/(1+RB/RD)となる。

 

上式からわかるように,接触電圧値を低くするには,B種接地抵抗値RBに比べてD種接地抵抗値RDを相当低くすることが必要であるが,最近は電路の延長とともにB種接地抵抗値が低くなってきているので,それ以下にD種接地抵抗値を低下させることが困難になっている。

 

人が充電部分に触れても電源は自動開放せず,接地抵抗値が規定値に維持されているかどうかのチェックも接地抵抗計により測定しなければならず,あまり簡単ではない。

 

2.その回路に電流動作形の漏電遮断器が取付けてある場合,

 

機器類の絶縁抵抗が高い場合は,人が充電部分に触れると接地電流が流れ,電源が自動開放される。

 

絶縁が劣化し大きな漏れ電流が流れた場合も電源は自動遮断され安全が保たれる。

 

漏電遮断器の動作チェックは,図のテストボタンにより容易に行える。

 

3.機器の外箱等にD種接地工事が施してあり,かつ,その回路に電流動作形の漏電遮断器が取付けてある場合,

 

人が充電部に触れた場合,接地工事により接触電圧が低く,また,漏電遮断器により電源が開放されるので安全が保たれる。

 

機器類に絶縁不良が発生すると接地線に大きな地絡電流が流れるので電源は自動遮断される。

 

漏電遮断器の動作チェックはテストボタンにより容易にできるが,D種接地抵抗値は接地抵抗計による測定が必要である。

 

4.まとめ

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低圧回路で使用している電気機器に絶縁不良が発生したとき,感電上の見地から説明しました。

 

機器の外箱等にD種接地工事が施してあり,かつ,その回路に電流動作形の漏電遮断器が取付けてあることで,最も安全性が高まる状態となる。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!