電力系統の連系と短絡容量抑制対策の解説[施設管理31]

電力系統を連系するメリット,デメリットおよび連系に伴う短絡容量の増大に対する抑制対策について説明する。

 

目次

  1. 電力系統連系のメリット,デメリット
  2. 短絡容量増大に対する抑制対策
  3. まとめ

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1.電力系統連系のメリット,デメリット

 

(1)メリット

 

①負荷の不等性(ピーク発生時刻が異なる)によるピーク負荷の低減が図れ,供給設備の稼働率が向上する。

 

②河川流量の不等性(流量が変動する)による常時供給力の増加を図ることができる。

 

③発電設備の大容量化が図れ,経済的な電源開発が可能となる。

 

④供給予備力の共有化が図れ,予備力の削減ができ,電源開発量の節約ができる。

 

⑤火力,水力,原子力発電の経済運用が容易となり,燃料費の節減を図れる。

 

⑥火力,原子力発電の補修などの調整が容易になる。

 

⑦常時および事故時の周波数変動,電圧変動率が小さくなる。

 

また送電損失が減少して,供給信頼度が向上する。

 

(2)デメリット

 

①短絡容量が増大することから,遮断器の容量不足が生じる。

 

直列機器の熱的,機械的耐量が必要になる。

 

②事故波及の影響が大きくなる。

 

1箇所の事故で脱調の拡大,健全部の遮断,無効電力のバランスがくずれ不安定になる。

 

③系統保護面では,系統が複雑化すると選択遮断が難しくなる。

 

保護継電器,保護装置の高速化や高度化が要求される。

 

2.短絡容量増大に対する抑制対策

 

(1)最も基本的な対策として,高次の送電電圧を採用し,既設系統を分割する。

 

(2)発電機や変圧器に高インピーダンス機器を採用する。

 

ただし,安定度低下などの影響を十分に検討する必要がある。

 

(3)限流リアクトルを採用する。直列リアクトル方式,分離リアクトル方式の2つがある。

 

(4)直流連系により事故時の無効電力を遮断して短絡容量を低減する。

 

(5)系統分割,系統分離方式を採用する。常時系統を分割する方法と事故時のみ系統を分離する方法がある。

 

3.まとめ

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電力系統を連系するメリット,デメリットおよび連系に伴う短絡容量の増大に対する抑制対策について説明しました。

 

メリットとして,負荷の不等性や河川流量の不等性により,設備稼働率が向上したり,常時供給力の増加を図ることができる。また,予備力の節減が可能等なり,経済的な運用が容易となり,燃料の節減が可能である。

 

デメリットとして,短絡容量の増大,事故波及の影響,系統保護の複雑化があげられる。

 

短絡容量の増大の対策として,高次電圧を採用し系統分割する,高インピーダンス機器を採用する,限流リアクトルを採用する,直流連系で無効電力を遮断して短絡容量を低減するなどがあげられる。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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