電力系統の異周波連系を解説[施設管理27]

 

50Hz系と60Hz系の両系統間で電力融通を行う方法のうち,実用化されているものについて説明する。

 

目次

  1. 同期同期周波数変換機によるもの
  2. 同期非同期周波数変換機によるもの
  3. 誘導周波数変換機によるもの
  4. 静止形周波数変換装置によるもの
  5. まとめ

☆電気主任技術者になれる!新電験論説攻略法の紹介☆

異周波系統間の電力融通を行うためには,当然周波数変換を行わなくてはならない。

 

したがって,本問題に対して周波数変換装置の観点から解説する。

 

1.同期同期周波数変換機によるもの

  

これは同期電動機と同期発電機を直結したもので,いわゆる同期電動機で運転される同期発電機である。

 

両機は直結されているため同一回転数で回転するので,同一回転数が両周波数に対して同期速度となるように極数を選べば良い。

 

したがって,50Hzと60Hzでは5:6の割合で極数を選べば良い。

 

また一方が同期電動機,他方が同期発電機として運転するためには,いずれか一方の内部誘起電圧の値を強制的に変えてやらなければならない。

 

このため,一方の同期機に固定子移動装置をつける。

 

この変換機の利点は以下の通り。

 

(1)設計操作が比較的簡単で効率も良い。

 

(2)両機の力率は励磁電流によって変えられるため,両系統の力率改善ができる。

 

欠点は以下の通り。

 

(3)負荷,周波数,電圧の変動によって脱調することがある。

 

(4)電力の方向を変える場合は調整を必要とし時間がかかる。

 

2.同期非同期周波数変換機によるもの

 

これは速度調整装置をもつ誘導電動機と同期機とを直結し,一方の周波数側を同期機に,他方を誘導電動機の一次に接続し,その二次はこれに接続された整流子機等によって速度調整をして周波数比を加減するものである。

 

この方式にはいろいろあり,またこれに自動的に両系統の負荷をやりとりする調整装置を付属するため,実際のものは相当複雑になる。

 

利点は始動および自動化,2組以上の並行運転およびこの場合の負荷分担の調節が容易で,また変換機においてその通過電力を自由に制御できる点である。

 

欠点としては同期同期形に比べて,高価で効率において劣ることがあげられる。

 

3.誘導周波数変換機によるもの

 

これは1個の誘導機を主機とし,これに補機として一種の二次励磁装置を設けたものである。

 

したがって,所要床面積が小さくて効率がよく,安価である。

 

また始動その他の操作が簡単,並行運転および負荷分担が容易で通過電力を自由に制御できる利点がある。

 

この反面,調相機としての作用をなし得ないことと,主機と同じ大きさの誘導電動機と同様の無効電力を消費する欠点がある。

 

4.静止形周波数変換装置によるもの

 

サイリスタは,任意の時点で電流を高速度に開閉できる一種の開閉器であるから,これを利用すれば交流を直流に変換したり,逆に直流を任意の周波数の交流に変換することができる。

 

前者を順変換,後者を逆変換というが,この順逆変換装置を直列接続すれば任意の周波数の間の電力融通ができる。

 

一般に順逆変換装置を直流リアクトルを通して直列接続し,逆変換装置の交流側に同期機があって,これが整流電圧を与えるものを他励式というが,これは運転の安定度がよく,大容量の電力用周波数変換装置としても最適である。

 

この装置の特徴は回転部分がないため騒音がなく,かつ,効率が良いなどの利点がある。

 

さらに,電力の方向変転が格子制御角をほぼ180°ずらすだけですむため,極めて高速度にできることもあり,現在の大容量周波数変換はこの方式が採用されている。

 

5.まとめ

  ☆電気主任技術者になれる!新電験論説攻略法の紹介☆

 

50Hz系と60Hz系の両系統間で電力融通を行う方法のうち,実用化されているものについて説明しました。

 

具体的には,同期同期周波数変換機によるもの,同期非同期周波数変換機によるもの,誘導周波数変換機によるもの,静止形周波数変換装置によるものがあり,現在の大容量周波数変換は静止形周波数変換装置が採用されている。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!