電力系統の無効電力の調整を解説[施設管理23]

 

電力系統の電圧を所定の値に保つためには,系統の無効電力制御が重要であるが,その方法にはどのようなものがあるかを説明します。

 

目次

  1. 発電機による制御
  2. 同期調相機による制御
  3. 電力用コンデンサ
  4. 分路リアクトル
  5. まとめ

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系統電圧は,有効電力の変動によっても無効電力の変動によっても変わるが,その影響の度合いは無効電力の方がはるかに大きい。

 

電圧制御のためには,この無効電力を制御することが効果的である。

 

無効電力の制御方法には次のものがある。

 

1.発電機による制御

  

発電機の励磁を増減することにより無効電力を増減できる。

 

すなわち,励磁電流を強めれば無効電力を多く供給できるし,弱めればこれを減少させられる。

 

さらに励磁電流を弱めれば,発電機端子の力率は進み力率となり,系統から無効電力を吸収するようになる。

 

2.同期調相機による制御

 

同期調相機は速応性があり,制御を連続的に行える。

 

また端子電圧,周波数に関係なく無効電力を増減しうるなど調相設備として優れた特性をもつが,価格が高いこと,回転機であるため保守に手がかかるなどの欠点がある。

 

近年では需要端に近接して火力発電機が多数設置され,これによる無効電力制御ができるようになったことから,用いられなくなってきている。

 

3.電力用コンデンサ

 

電力用コンデンサは,負荷に近い適当な場所に設置でき,また,価格も比較的安価であり,かつ,保守が容易であるなどの利点がある。

 

なお,容量についてはコンデンサ群を開閉することにより,必要な容量を選定することができる。

 

しかし,周波数や電圧が低下すると供給できる無効電力が減少する欠点もあるので,容量選定にあたり注意する必要がある。

 

4.分路リアクトル

 

分路リアクトルは電力用コンデンサと全く逆の機能がある。

 

ケーブル系統などの対地静電容量の大きい系統では,夜間などの軽負荷時に電圧が上がり過ぎるため,無効電力を消費する分路リアクトルが設置される。

 

5.まとめ

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電力系統の電圧を所定の値に保つためには,系統の無効電力制御が重要であり,その方法を説明しました。

 

説明したように,発電機の制御,同期調相機による制御,電力用コンデンサ,分路リアクトルにより,系統に供給する無効電力を調整して電圧制御を行うもののほか,変圧器のタップを切り換えて電圧制御する方法もある。

 

電圧制御に関連する機器は,電力系統の構成により適正に配置し,しかもこれらが十分に協調を保って電圧制御できるようにしなければならない。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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