電力供給と発電方式を解説[施設管理21]

 

電力系統の供給力は日負荷曲線中の分担分に応じ,ベース供給力,中間供給力およびピーク供給力に大別できるが,各供給力に対応する発電方式の種類をあげ,それぞれについて説明する。

 

目次

  1. ベース供給力
  2. 中間供給力
  3. ピーク供給力
  4. まとめ

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1.ベース供給力

  

1日中一定出力で運転するから,日間始動停止や出力調整の必要がない,建設費は幾分高くてもkWh当たりの運転費が安いものがよい。

 

(1)原子力発電

 

核燃料初期装荷を含めた建設費は高いが,燃料費が安く,また,負荷変動に追従する調整能力があまりないので,ベース供給に適している。

 

(2)大容量火力発電

 

大容量の高温・高圧火力発電は熱効率がよいので燃料費が比較的安い。

 

一方,頻繁な始動停止や低負荷運転には適していないので,ベース供給を行う。

 

(3)流れ込み式水力発電

 

水エネルギーを無駄なく利用するため,河川自流に応じてベース供給を行う。

 

(4)地熱発電

 

自然エネルギー活用のため,一定出力で高稼働運用する。

 

2.中間供給力

 

1日の負荷変動に対して比較的大きな時間幅で対応するので,日間の始動停止や出力調整に応じやすいことが必要である。

 

建設費と運転費の関係の経済性は,ベース供給とピーク供給の中間である。

 

DSS:Daily Start Stop

 

(1)中容量火力発電

 

日間の始動停止が可能である。大容量火力よりも熱効率が劣る。

 

(2)中間負荷火力発電

 

相当の負荷変動に対応でき,旧来の中容量火力より効率が高い。

 

3.ピーク供給力

 

急激な負荷変動に対応するため,負荷追従性がよく,頻繁な始動停止が行えることが求められる。

 

(1)揚水発電

 

大容量火力や原子力発電の深夜や週末などの供給余力によって,下部貯水池から上部貯水池に揚水し,ピーク時に発電する。

 

(2)調整池式水力発電

 

一般的に水力発電は火力発電に比べて急激な負荷変動に対応でき,出力調整がしやすい。

 

調整ちは日間あるいは週間程度の流量の調整を行うもので,深夜などの軽負荷時に水を蓄え,ピーク時に発電を行う。

 

(3)貯水池式水力発電

 

貯水池は豊水期に水を蓄え,渇水期にその水を使う季節的な流量の調整を行うものであるが,ピーク供給力としても対応できる。

 

(4)小容量火力発電

 

始動停止が比較的容易であり,効率が高くないのでピーク時,負荷の変動に応じて発電する。

 

(5)ガスタービン発電

 

始動時間が短く,始動損失も少ない。

 

負荷追従性もよいので,ピーク供給に適している。

 

4.まとめ

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電力系統の供給力は日負荷曲線中の分担分に応じて,ベース供給力,中間供給力およびピーク供給力に大別でき,各供給力に対応する発電方式をあげて,それぞれについて説明しました。

 

具体的にベース供給力としては,建設費は幾分高くてもkWh当たりの運転費が安く,1日中一定出力で運転するのに適した原子力発電,大容量火力発電,流れ込み式水力発電,地熱発電が活用されている。

 

また,中間供給力としては,1日の比較的大きな時間幅の負荷変動に対して対応できる中容量火力発電,中間負荷火力発電が活用されている。

 

さらにピーク供給力として,急激な負荷変動に追従性がよく,頻繁な始動停止が行える揚水発電,調整池式水力発電,貯水池式水力発電,小容量火力発電,ガスタービン発電が活用されている。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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