水車発電機の短絡比を解説[発電機3]

 

水車発電機の短絡比を大きくすることによる利点について説明する。

またこの場合,水力発電所の建設費はどのような影響を受けるかを説明する。

 

目次

  1. 短絡比を大きくする利点(磁気回路を大きくした鉄機械)
  2. 建設費に対する影響
  3. まとめ

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1.短絡比を大きくする利点(磁気回路を大きくした鉄機械)

  

(1)同期インピーダンスが小さくなり,発電機内部相差角が小さくなるので安定度はよくなる。

 

(2)電機子反作用が小さくなるので,進み電流時の自己励磁が生じにくく,線路充電容量が大きくなる。

 

(3)同期インピーダンスが小さくなるので,電圧変動率は小さくなる。

 

2.建設費に対する影響

 

(1)短絡比を大きくするためには,励磁回路を大きくして磁路の断面を大きくし,鉄心寸法を大きくする。

 

また,界磁銅量を増して界磁起磁力を大きくし,さらに,ギャップを大きくするため,機械は大型となり,重量も重く高価になる。

 

(2)このため,発電所の基礎工事費が高くなり,また床面積も大きく,起重機容量(クレーンなど)も大きくせねばならないので建設費は高くなる。

 

3.まとめ

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水車発電機の短絡比を大きくすることによる利点,建設費への影響を説明しました。

 

参考ですが,各短絡比は以下の通り(Ks = 1/Zs[p.u])。

 

水車発電機 Ks=0.9〜1.2程度(目安として1.0)

 

タービン発電機 Ks =0.6〜1.0程度(目安として0.8)

 

電圧変動率の小さいことが要求されるものでは,短絡比を1.5〜1.8とする場合もある。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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