核燃料サイクルの解説[原子力発電所7]

軽水炉型原子力発電所で使用される核燃料の核燃料サイクルについて説明する。

 

目次

  1. 核燃料サイクルの概要
  2. 核燃料サイクルの現状
  3. 核燃料サイクルの課題
  4. まとめ

1.核燃料サイクルの概要

 

ウラン鉱石を,精錬,転換,濃縮,再転換,成型加工など加工して燃料とする。

 

核燃料を原子炉で使い終えると使用済み燃料として取り出される。

 

この使用済み燃料を再処理し,燃え残りウランや生成したプルトニウムを再び核燃料として使う。

 

このような流れを核燃料サイクルと言う。

 

2.核燃料サイクルの現状

 

現在,我が国の商用原子力発電所で採用されている軽水炉では,3%程度にウラン235の濃縮度を高めた,いわゆる微濃縮ウランが燃料として使用されている。

 

すなわち,天然に算出されるウラン鉱石中のウラン(ウラン235の濃度が約0.7%)を精錬,転換工程などを経て六フッ化ウラン(UO2)の形態に再転換し,燃料集合体の形に成型加工して使用している。

 

一方,原子炉で使い終えた使用済み核燃料には,燃え残りのウランが約90%,原子炉内で新たに生成したプルトニウムが約1%および炉内での核分裂に伴って生じた燃えかす(核分裂生成物)が約3%含まれている。

 

このうち,ウランとプルトニウムはそれぞれ分離,精製すれば新しい核燃料の原料として再利用できる。

 

この使用済み燃料から核分裂生成物などを除去し,これらの有用物質を回収する工程が再処理工程である。

 

また回収したウランやプルトニウムを新しい核燃料として再利用する循環過程を含めて,核燃料の全体の流れを一般的に核燃料サイクルと呼んでいる。

 

このサイクルのうち,ウランの採鉱に始まり,ウラン濃縮,成型加工などの工程を経て,新燃料が原子炉に入るまでの過程をアップストリームといい,使用済み燃料の貯蔵,再処理あるいは放射性廃棄物の処理,処分などを含めて,ダウンストリームと呼ぶ場合も多い。

 

 

3.核燃料サイクルの課題

 

核燃料サイクルは広範囲かつ高度な技術分野で構成されており,商業利用の観点からは成型加工などを除きかなりの部分をまだ海外に頼っている。

 

 

エネルギー資源の乏しい我が国としては,使用済み燃料を再処理して回収したウランやプルトニウムを新しい核燃料として積極的に再利用していくことを国の基本方針として,その中核となる再処理はもとより,外国に頼らない自主的な核燃料サイクルを早期に確立することを最重要課題として様々な技術開発が進められている。

 

一方,残された課題として,再処理工場から発生する高レベル放射性廃棄物などの処理,処分技術,レーザ技術などを応用したウラン濃縮新技術の開発,プルトニウム燃料の製造,利用技術の確立などがあげられる。

 

これらについては国および民間が互いに分担,協力しながら研究開発を進めている。

 

4.まとめ

 

軽水炉型原子力発電所で使用される核燃料の核燃料サイクルについて説明しました。

 

ウラン鉱石を,精錬,転換,濃縮,再転換,成型加工など加工して燃料とし,核燃料を原子炉で使い終えると使用済み燃料として取り出される。この使用済み燃料を再処理し,燃え残りウランや生成したプルトニウムを再び核燃料として使う。この一連の流れを核燃料サイクルと呼びました。

 

広範囲かつ高度な技術分野で構成され,かなりの部分をまだ海外に頼っている。エネルギー資源の乏しい我が国としては,自主的な核燃料サイクルを早期に確立することを最重要課題として,国および民間が互いに分担,協力しながら研究開発を進めている。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!