火力発電所の硫黄酸化物の低減対策を解説[火力発電所13]

 

重油専焼火力発電所から排出されている硫黄酸化物による公害防止対策を説明する。

 

目次

  1. 硫黄含有の少ない重油を用いる
  2. 高煙突を採用する
  3. 優秀な燃焼制御装置・高性能の集じん装置を使用する
  4. 緊急時にはSO2の排出量を特に減少させる
  5. 排煙中のSO2を除去する
  6. まとめ

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重油専焼火力発電所の煙突から排出される硫黄酸化物としての亜硫酸ガスSO2による公害の防止策を大別すると,大気中に排出されるSO2の量を減少させる方法と,高煙突によってSO2を拡散させ,その地上濃度を低下させる方法の2つになる。

 

1.硫黄含有の少ない重油を用いる

  

硫黄含有量の少ない重油を用いると発生するSO2の量も少なくなるが,硫黄分を取り去った脱硫重油を用いるとか,重油より硫黄分の少ない原油を直接燃焼させるとか,硫黄分のない天然ガスや液化天然ガス(LNG)の使用を検討する。

 

2.高煙突を採用する

 

 煙突から大気中に排出されるSO2を煙突によって拡散させ人体に悪影響を及ばさない程度にまでSO2の地上濃度を低くする。

 

この拡散効果を高めるためには煙突を高くする一方,排出力を大きくするよう2本以上の煙突をまとめて集合煙突としたり,煙突出口にノズルを取付け排出速度を上げる。

 

3.優秀な燃焼制御装置・高性能の集じん装置を使用する

 

優秀な燃焼制御装置を採用し,燃焼方法および制御などについて十分な管理を行う。

 

特に過剰空気率の適正化を図る。

 

また,排煙中の酸性を帯びた重油のすす(無水亜硫酸:SO3)がSO3+H2O=H2SO4の反応を起こして,ガス中のばいじんをアシッドスマット(灰の塊)として成長飛散させる恐れがあるので,排煙中にアンモニアを吹き込んでSO3を中和して硫酸アンモンにし,高性能の集じん装置によってばいじんおよび硫酸アンモンを収集する。

 

4.緊急時にはSO2の排出量を特に減少させる

 

大気中のSO2の含有率(地上のSO2の濃度)が著しく高くなって法令で定められた緊急事態が発生したとき,例えば,スモッグ警報が発令された場合には,都道府県知事からSO2の排出量を減少させるよう協力が要請されることになっているので,この事態に備え,あらかじめ,硫黄含有率の低い重油を備蓄しておいてこれを使用するとか,発電所の出力を減少させ,重油の使用量を減じSO2の発生量を低減させる(ばい煙量の減少のための措置に関する計画は,あらかじめ都道府県知事に届けておかねばならない)。

 

5.排煙中のSO2を除去する

 

排煙脱硫装置を設置する。

6.まとめ

  

 重油専焼火力発電所から排出されている硫黄酸化物による公害防止対策を説明しました。

 

具体的には,硫黄含有の少ない重油を用いる,高煙突を採用する,優秀な燃焼制御装置・高性能の集じん装置を使用する,緊急時にはSO2の排出量を特に減少させる,排煙中のSO2を除去するなどがあげられる。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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