保護継電器の条件の解説[送電線18]

電力系統の事故などを異常事態を検出し,その部分を速やかに系統から切り離すよう指令を出すことを任務とする保護継電器について,具備すべき条件を説明する。

 

目次

  1. 保護継電器の検出感度
  2. 保護継電器の選択性
  3. 保護継電器の動作速度
  4. 保護継電器の信頼性
  5. まとめ

☆誰も知らない画期的な電験論説攻略方法☆

保護継電器は電力系統に事故などの異常状態が発生した場合にこれを検出し,その部分を系統から切り離すために遮断器に遮断指令を出す責務を持つ。

 

このため保護継電器は,次の条件を具備しなければならない。

 

1.保護継電器の検出感度

 

系統構成,需要などの系統の運転状況,事故様相などによらず,保護対象区間の異常現象を確実に検出する感度を有する必要がある。

 

検出感度が低下する場合としては,常時の負荷電流や送電線充電電流が大きい系統,微地絡事故,保護継電器設置点から遠方の地点の事故などがあるが,電力系統全体で見て保護不能にならないような感度を確保する必要がある。

 

2.保護継電器の選択性

 

遮断区間が必要最小限となるよう,事故区間だけを的確に選択検出できること。

 

異常部分を電力系統から切り離すのに,必要以上の区間を停止すると停電あるいは健全設備の過負荷などにつながり,事故の影響の波及拡大につながる。

 

よって,保護対象区間の事故だけを検出し,その他の区間の事故では動作しない高い選択性が必要である。

 

3.保護継電器の動作速度

 

系統安定度の維持,事故設備の損傷拡大,波及の極限化に必要な高速動作が可能なこと。

 

事故継続時間が長引くと,発電機,揚水機の加減速,動揺が大きくなって系統安定度が維持できなくなったり,事故設備の損傷が拡大して他設備の事故に波及する場合もあるので,保護対象系統に応じた高速動作が必要になる。

 

4.保護継電器の信頼性

 

誤動作および誤不動作の発生を極力抑えると同時に,万が一の誤不動作に対しても次善の保護能力を有していること。

 

保護継電器の不具合を絶無にすることは困難であるため,自動監視機能の付加による不良の早期発見・処置,独立した複数の保護継電器の同時動作で遮断指令を出すことによる誤動作防止,保護継電器の二重化による誤不動作防止などの対策がある。

 

また誤不動作の次善策として,事故区間の選択性,動作速度はやや劣るものの確実に異常区間の切り離しを行う後備保護継電器を設ける。

 

5.まとめ

☆誰も知らない画期的な電験論説攻略方法☆

 

電力系統の事故などを異常事態を検出し,その部分を速やかに系統から切り離すよう指令を出す保護継電器について,具備すべき条件を説明しました。

 

具体的には保護継電器には,検出感度,選択性,動作速度,信頼性が要求されます。

 

検出感度は保護対象区間の異常現象を確実に検出する感度を有すること,選択性は遮断区間が必要最小限となるよう事故区間だけを的確に選択検出できること,動作速度は系統安定度の維持,事故設備の損傷拡大,波及の極限化に必要な高速動作が可能なこと,信頼性は万が一の誤不動作に対しても次善の保護能力を有していることが求められます。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!