単相再閉路とタービン発電機の関係を解説[送電線14]

系統事故時に送電線の単相再閉路を実施した場合,以下の項目について説明する。

 

目次

  1. タービン,タービン発電機の軸系への機械的影響
  2. タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響
  3. タービン発電機回転子表面の温度上昇
  4. まとめ

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電力系統事故の大部分は雷により発生する逆フラッシオーバの地絡事故であり,一旦,事故相を遮断し,事故点のイオン消滅を待って再び充電すれば送電を継続できる場合が多く,電力の安定送電の維持確保に不可欠な対策である。

 

単相再閉路はその地絡事故の大半が1線地絡事故であることに着目して,1回線三相の内で1相が地絡事故になった場合に事故相だけを遮断し,残りの2相で送電を継続しつつ1秒程度の高速で再閉路するものである。

 

この方式を適用する場合のタービンおよびタービン発電機への影響としては次のようなものがある。

 

1.タービン,タービン発電機の軸系への機械的影響

 

タービン,タービン発電機の軸系は各ロータ部が軸部で連結された構成になっている。

 

単相再閉路方式を採用すると,送電線1線地絡事故→事故相遮断(1相欠相状態,単相送電)→(事故点アーク消滅)→再閉路の過程において,機械的入力トルクは一定であるのに対して電気的トルクが大きく変化し,この軸系にはロータ間の相互作用によって,以下の画像のような軸ねじれ振動が発生する。

 

このねじれ振動は軸部材料の疲労,蓄積を招き,トルクの大きさ,回数によっては軸の破断を引き起こす。

 

2.タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響

 

タービン発電機の固定子巻線にかかる電磁力としては,1線地絡電流,欠相送電中の逆相成分を含む電流,再閉路時の過渡電流を考えなければならないが,短絡事故時の電磁力と比較すると,それほど問題となるレベルではない。

 

電磁力に弱いコイル端で動揺,変形によって,コイルが損傷しないように強固に支持する必要がある。

 

3.タービン発電機回転子表面の温度上昇

 

電機子電流に逆相分が流れると回転子には2倍周波数の渦電流が流れるが,タービン発電機の場合は,この電流が回転子のくさび,歯部,制動巻線およびコイル保持環を環流するようになる。

 

このため,その一部が各部の接触面を通じて流れ,電流の集中する部分での過熱が問題となる。

 

短時間の現象で熱放散が期待できないので,短時間許容値は逆相電流の2乗とその継続時間の積で決まる。

 

単相再閉路の場合は逆相電流の継続時間が短いので,あまり問題にならない。

 

4.まとめ

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系統事故時に送電線の単相再閉路を実施した場合のタービン発電機の軸系への機械的影響,タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響,タービン発電機回転子表面の温度上昇について説明しました。

 

タービン発電機の軸系への機械的影響として,単相再閉路方式を採用すると,送電線1線地絡事故→事故相遮断(1相欠相状態,単相送電)→(事故点アーク消滅)→再閉路の過程において,機械的入力トルクは一定であるのに対して電気的トルクが大きく変化し,この軸系にはロータ間の相互作用によって,軸ねじれ振動が発生し,軸の破断を引き起こす場合がある。

 

タービン発電機固定子巻線への電磁力の影響として,電磁力に弱いコイル端で動揺,変形があるため,コイルが損傷しないように強固に支持する必要がある。

 

タービン発電機回転子表面の温度上昇として,電機子電流に逆相分が流れて回転子には2倍周波数の渦電流が流れて,タービン発電機の回転子のくさび,歯部,制動巻線およびコイル保持環を環流する。その結果,電流の集中する部分で過熱が問題となる。ただし,単相再閉路の場合は逆相電流の継続時間が短いので,あまり問題にならない。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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