送電線で使用される直列コンデンサの役割を解説[送電線8]

 送電線に使用される直列コンデンサの役割と,どのような送電線に適用するのが効果的であるかを説明する。

 

目次

  1. 送電線での直列コンデンサの役割
  2. 直列コンデンサを適用する送電線
  3. まとめ

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1.送電線での直列コンデンサの役割

  

直列コンデンサを送電線に接続すると,送電線の誘導リアクタンスが減少するので,次のような効果が期待できる。

 

(1)潮流変化により自動的に受電端電圧の保持,電圧変動率の改善用に使用される。

 

(2)長距離送電線の安定度を向上させ,また,送電電力を増大させる。

 

(3)並列回路の電力潮流を制御するために使用し,電力潮流を適正化することにより,送電線での電力損失を低減させられる。

 

2.直列コンデンサを適用する送電線

 

上記の理由から,直列コンデンサは次のような送電線に使用される。

 

(1)長距離送電線の電力容量は,安定度の限界によって定まる。

 

送電線の安定度は低電圧送電方式においては誘導リアクタンスの大きさに逆比例するので,直列コンデンサを挿入 → 誘導リアクタンスの減少 → 安定度の向上 となる。

 

ゆえに,長距離送電線に直列コンデンサを挿入すれば安定度の向上,送電電力の増大となる。

 

(2)送電線の系統化により電線サイズ(抵抗)の異なる送電線が並列運転されることがある。

 

この場合,並行回線の電力潮流は一般的に線路リアクタンスに支配される。

 

線路リアクタンスは一般的に電線サイズにあまり関係はなく,線間距離で定まるので電線サイズの大小にかかわらず,各送電線にはほとんど同じ電力潮流がのることになる。

 

電線サイズの小さい方の送電線は電線サイズの大きい送電線と比べて,抵抗が大きくなるので電力損失が大きい。

 

これを改善するために電線サイズの大きい送電線に直列コンデンサを挿入することで多くの潮流をのせることができ,潮流分布の適正化を図り,系統全体の電力損失を低減させる。

 

(3)低電圧送電線では電圧降下を補償するために直列コンデンサが挿入される。

 

(4)負荷が大容量のアーク炉に接続されている送電線に直列コンデンサを接続すれば,電源側のみかけの短絡容量が増大することになり,負荷変動により発生するフリッカや電圧不平衡を改善できる。

 

3.まとめ

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送電線に使用される直列コンデンサの役割と,どのような送電線に適用するのが効果的であるかを説明しました。

 

直列コンデンサの役割には,送電線の誘導リアクタンスを減少させるので,電圧変動率の改善,長距離送電線の安定度向上と送電電力の増大,並列送電線の電力潮流の制御による電力損失の低減がありました。

 

よって,安定度の向上による送電電力の増大を期待する長距離送電線,潮流を多くのせることで電力損失の低減が図れる電線サイズの大きい送電線,負荷変動により発生するフリッカや電圧不平衡の改善が可能な大容量のアーク炉に供給する送電線に,直列コンデンサが適用される。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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