架空送電線の異常振動の原因と対策を解説[送電線7]

架空送電線の電線は気象条件などによって異常な振動を生じて重大な事故になることがあるが,その主な原因と振動軽減の対策について説明する。

 

目次

  1. 送電線の異常振動の原因
  2. 送電線の振動の軽減対策
  3. まとめ

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1.送電線の異常振動の原因

 

(1)微風振動

 

比較的ゆるやかな一様な風が電線に直角に吹くと電線の背後に渦状の空気の流れ(カルマン渦)が生じて,電線が鉛直方向に大きく振動する。

 

電線の径間長,張力,重さで決まる固有振動数と電線の振動が一致すると共振して振動が大きくなる。

 

(2)スリートジャンプ

 

電線に付着した氷雪が,径間のある程度にわたりいっせいに脱落し,その反動で電線が上下方向に大きく振動する。

 

減衰振動であり,持続性はない。

 

(3)ギャロッピング

 

電線に翼状の氷雪が付着すると,突風によって電線に浮揚力が働き,蛇行運動または定在波状の大きな振動を生じる。

 

2.送電線の振動の軽減対策

 

(1)微風振動の対策(断線防止対策)

 

・アーマロッドの使用:電線支持点付近(支持点から1〜3メートルくらいの間)に電線と同種の線を巻きつけて,電線を補強する。

 

電線保護と防振の両効果を狙っている。

 

・ダンパの使用:トーショナルダンパ,ベートダンパなどがあり,いずれも振動のエネルギーを吸収して振幅を小さくして振動の減衰を早める効果がある。

 

・フリーセンター形懸垂クランプの使用:クランプが電線の振動に応じて自由に動けるようにしたものである。

振動はクランプを通じて次の径間へ移行しながら減衰し,電線支持点にはほとんど応力を生じない。

 

(2)スリートジャンプの対策

 

・ルート設計段階では,なるべく氷雪の少ないルートを選定する。

 

また,径間長を短くする。

 

・鉄塔装柱の設計段階では,オフセット,垂直線間距離を大きくとる。

 

・難着雪リングや発熱体を巻きつけて,電線に氷雪が付着するのを抑制する。

 

・懸垂鉄塔を少なくすることで,電線の跳ね上がり量を抑制する。

 

・相間スペーサを設置して,電線を固定して接触を回避する。

 

(3)ギャロッピングの対策

 

・ルート設計の段階では,気象条件を踏まえたルートを選定する。

 

・電線の張力を大きくする:たるみが大きいほど振動が大きくなるので,電線をできるだけ締め上げてたるみを抑制する。

 

・径間長を短くする:径間が長いほど振動が大きくなるので,径間長を短くする。

 

・相間スペーサを使用:電線間に相間スペーサを挿入し,振動を抑制する。

 

3.まとめ

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架空送電線の異常な振動の主な原因と振動軽減の対策について説明しました。

 

振動の主な原因には,カルマン渦による微風振動,電線の氷雪がいっせい脱落することで電線が跳ね上がるスリートジャンプ,電線に翼状の氷雪が付着することで,浮揚力が生じて大きな蛇行運動に発展するギャロッピングがありました。

 

対策としては,微風振動による断線防止のために,アーマロッド,ダンパ,フリーセンター形懸垂クランプの使用がありました。

 

また,スリートジャンプおよびギャロンピングの防止対策としては,電線への着雪を抑制する難着雪リングや相間スペーサの設置が有効である。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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