火力発電所のボイラの種類と原理を説明[火力発電所2]

異なる循環方式の火力発電用ボイラの種類とその原理を説明します。

 

目次

  1. 自然循環ボイラ
  2. 強制循環ボイラ
  3. 貫流ボイラ
  4. まとめ

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火力発電所で使われているボイラには,水循環の方式の代表的な,自然循環ボイラ,強制循環ボイラ,貫流ボイラの3種類があります。

 

1.自然循環ボイラ

 

このボイラは蒸発管の水の比重と,下降管の水の比重の差から生じる循環力で水を循環させて,蒸気を発生させるボイラです。

 

(特徴)

構造が簡単であり,広い圧力範囲で用いられる。

 

他のボイラと比べて,ボイラの高さが高く,蒸発管が太い。

 

圧力が高くなると,水と蒸気の圧力差が小さくなることから,ボイラの高さを高くする必要がある。

 

2.強制循環ボイラ

 

水は高圧になるに従って,飽和水と飽和蒸気の比重の差が小さくなって,ボイラ高さだけでは循環力が不十分になる。

 

ボイラを高くすれば,耐圧強度を高めるために水管を肉厚にするため,水管径が細くなってしまい,管内抵抗が増加する。

 

そのため,一層大きな循環力が要求される。

 

解決策として,ボイラ水をポンプで強制的に循環させることになり,これを強制循環ボイラと呼んでいる。

 

(特徴)

大型の高圧ボイラに用いられる。

 

ボイラの高さを抑制でき,蒸発管を細く小型かつ軽量化できて,設計の自由度が増す。

 

ポンプの故障による影響が大きいことから,設計・点検に注意が必要である。

 

自然循環式と比べて,各部分の温度を一定に保てることから始動時間が短い特徴がある。

 

3.貫流ボイラ

 

ドラムおよび降水管がなく,長い管のいったんから給水ポンプで蒸気圧力よりも大きな圧力で給水する。

 

途中で順次,加熱,蒸発させ,さらに過熱して管の他端から過熱蒸気を送り出すボイラである。

 

(特徴)

水と蒸気が混合せずに,全て過熱蒸気となる亜臨界・超臨界ボイラとして使用されている。

 

ドラムが不要で蒸発管の径が小さいことから軽量で,ボイラ高さ,配列などの設計が比較的自由に行える。

 

低負荷や始動時の流量を一定限度以上に保つ必要がある。

 

ボイラの保有水量が少ないので,熱容量が小さく急速に始動できる。

 

負荷変動に対する追従性が良い。

 

ただし,給水の不純物がボイラやタービンに運ばれやすいので,給水処理を十分に行う必要がある。

 

4.まとめ

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水循環方式の異なる,自然循環ボイラ,強制循環ボイラ,貫流ボイラについて紹介しました。

 

自然循環ボイラは,蒸発管と降水管の水の比重の差から循環力を得て,蒸気を発生させる方式であり,強制循環ボイラは循環ポンプでボイラ水を強制的に循環させる方式がある。

 

また,貫流ボイラはドラムや降水管を持たず,一端の給水ポンプから水を押し込み,加熱,蒸発,過熱のステップを経て,他端から過熱蒸気を送り出す方式である。

 

 

火力発電所のボイラの基本的な構成を理解できましたでしょうか。

 

電験は幅広い知識が必要ですので,効率よく学習したいところですね。

 

本ブログでは電験合格に役に立つ情報を順次発信しますので,ぜひご活用ください。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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