原子力発電所の沸騰水型BWRと加圧水型PWRの特徴は?[原子力発電所1]

原子力発電所の沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の特徴について説明します。

 

目次

  1. 沸騰水型(BWR)の長所と短所
  2. 加圧水型(PWR)の長所と短所
  3. まとめ

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こんにちわ

 

2011年の東日本大震災以降,原子力発電所の安全性について,世の中で議論が活発化しておりますね。

 

今回は原子力発電所の2つの構成である沸騰水型(BWR),加圧水型(PWR)について説明しますね。

 

それではレッスンを始めます。

 

1.沸騰水型(BWR)の長所と短所

 

BWR型プラントは,原子炉内で直接水を沸騰させた蒸気でタービン発電機を駆動させる方式です。

 

○長所

 

(1)原子炉内の圧力が低く,圧力容器,配管は比較的薄くても良い。

 

(2)蒸気発生器が不要で,シンプルな構造である。

 

(3)熱効率が高い

 

(4)蒸気泡(ボイド)の存在により,水(減速材)の負の反応度が大きく固有の安全性を持つ。

 

(5)再循環系の流量制御により,ボイドの発生状態を変化させることで,出力分布を大きく変えることなく出力変動を行うことができる。

 

(6)事故発生時に炉心冷却系の作動時間に余裕がある。

 

○短所

 

(1)放射能を帯びた蒸気が直接タービンへ送られるので放射能遮へいが必要である。

 

(2)タービン系統の保守・点検では,放射線防護が必要である。

 

(3)炉心の出力密度を大きくとれないため,PWRと同一出力とすれば炉が大型になる。

 

なお,炉内に気水分離器,炉心への流れを促進するジェットポンプ,過熱蒸気にするための蒸気乾燥機などを収納するため大型になる。

 

2.加圧水型(PWR)の長所と短所

 

PWRは原子炉と一次冷却系が閉ループで構成されている。

 

蒸気発生器で熱交換を行い,二次冷却水の蒸気によりタービン発電機を駆動する間接サイクルプラントで系統が複雑である。

 

原子炉の出力制御は,制御棒とホウ素濃度制御でおこなっている。

 

○長所

 

(1)タービン系の二次系機器は放射能で汚染されないため,保守・点検が火力プラントと同様レベルの対策で行える。

 

(2)加圧水活用で炉心の出力密度を高くできることから,原子炉が小型である。

 

(3)万一,事故があっても,原子炉と一次冷却系は格納容器内に設置されているため放射能の拡散を防止できる。

 

○短所

 

(1)蒸気発生器や加圧器等の保守・点検が必要である。

 

(2)熱効率が低い

 

(3)BWRと同一条件の蒸気を発生させるためには,炉圧力を高くする必要がある。

 

機器がこの圧力に耐えられるような構造にしたり,圧力容器,配管の壁等を厚くする必要がある(高価である)。

 

3.まとめ

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いかがでしたか。

 

原子力発電所の2つの種類であるBWRとPWRの特徴を理解できましたか。

 

蒸気でタービンを回す構造は同じですが,放射能を含む蒸気でタービン発電機を回転させるBWR,一方,冷却系統を分けることで,放射能を含まない二次系の冷却水による蒸気でタービン発電機を回転させるPWR,各々の出力制御方式,原子炉の耐構造,点検・作業面から整理してくださいね。

 

 

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それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 


原子力発電所の沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の特徴について説明します。

 

目次

  1. 沸騰水型(BWR)の長所と短所
  2. 加圧水型(PWR)の長所と短所
  3. まとめ