火力発電所から発生する大気汚染物質と対策は?[火力発電所1]

火力発電所から発生する大気汚染物質と大気汚染を防止する対策について説明する。

 

目次

 

  1. 大気汚染物質にはどのような種類があるか
  2. 大気汚染の防止対策はどのようなものがあるか
  3. まとめ

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1.大気汚染物質にはどのような種類があるか

 

(1)ばいじん:燃焼中の不燃物質や燃焼後の石炭灰,石油灰

 

(2)硫黄酸化物:燃焼中の硫黄分によるSO2,SO3

 

(3)窒素酸化物:燃焼中の窒素分によるNOx と 空気中の窒素によるNOx

 

(4)二酸化炭素:排煙に含まれており,温室効果ガスと考えられている

 

参考ですが,LNGを燃料とする火力発電所では,硫黄分,窒素分の酸化物や灰がほとんど発生しない特徴があります。

 

2.大気汚染の防止対策はどのようなものがあるか

 

各々の大気汚染物質の発生防止対策と排出防止対策について説明する。

 

(1)ばいじんの発生・排出防止対策

 

・良質な燃料を使用する

 

・液体燃料の場合,霧化して噴射された霧粒子の径を小さくする

 

・火炎が燃料室の壁に接触しないようにする

 

・燃料室の設計に適した空気比率を保ち,燃料と空気を良好な混合比として燃料を完全に燃焼させる。

 

・排ガスをうずまき状に旋回させて粒子を沈着させる遠心力集じん装置(サイクロン集じん装置),排ガスを荷電して吸着する電気集じん装置などを設置する。

 

(2)硫黄酸化物発生・排出防止対策

 

・硫黄分の少ない良質な燃料(低硫黄重油,硫黄分がないLNG)を使用する

 

・排煙脱硫装置を設置し,排ガス中のSOxを除去する(乾式法,湿式法)。

 

※乾式法:SOxを吸着しやすい活性炭や半成コークスなどの吸着剤に通して除去する。活性炭素と排ガスにSOxと反応しやすい活性酸化マンガンや活性アルミナの粉末吸収剤を吹き込み,吸収・反応させた後,集じん装置で回収する。

 

※湿式法:硫黄酸化物を石灰の懸濁液,水酸化ナトリウム液などに吸収させて,化学的処理をして,石こうの副産物として回収する。多量の用水が必要で,排水処理の問題がある。

 

(3)窒素酸化物発生・排出防止対策

 

・窒素分の少ない燃料を使用する

 

・過剰空気率を低減して,窒素分を抑制する

 

・二段燃焼法を採用して,完全燃焼に近づける

 

・排ガス再循環法の採用

 

・低NOxバーナーの採用

 

・排煙脱硝装置を設置し,排ガスのNOxを除去する。アンモニアを還元剤として無害な窒素と水蒸気と炭酸ガスに変える乾式法が主流である。また,排ガスを化学物質の水溶液で洗浄し,NOxを化学的に反応吸収する湿式法がある。

 

(4)二酸化炭素発生・排出防止対策

 

・高効率なコンバインドサイクル発電方式を採用して,発電効率を高める。

 

・石炭火力では蒸気タービンの圧力や温度を超々臨界圧という極限まで上昇させる方法がある

 

・CO2の吸収量と排出量が同量であるバイオマス(生物資源)エネルギーである木材や下水汚泥を燃料に加工して,石炭と一緒に利用することで,石炭の使用量を減らしてCO2を削減する

 

3.まとめ

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いかがでしたか。

 

大気汚染の防止対策の注目が集まっており,特にCO2の削減が近々の大きな課題になっていますね。

 

ポイントとして大気汚染物質には,ばいじん,硫黄酸化物,窒素酸化物,二酸化炭素の4種類がありました。

 

その防止対策として発生防止面,排出防止面がありました。

 

発生防止面では良質な燃料を使用することや,燃焼効率を高くして排出量を低減することが大切です。

 

排出防止面では,ばいじんの集じん装置,排煙脱硫装置,排煙脱硝装置を活用することが重要ですね。

 

二酸化炭素については,今後,次々に新技術の実証が始まりそうですね。

 

電験取得は大変時間のかかる資格です。

勉強するのも自分の時間を使っていること,機会損失をしていることなどのリスクをとって,リターンをとりにいっていることを理解して,効率的に勉強して攻略しましょうね。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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