超高圧送電線で多導体電線が使用されているのはなぜだろう?
目次
- コロナによる雑音障害を防止する
- コロナによる損失を低減する
- 許容電流を増大させる
- 電圧降下を減少させる
- 系統の安定度を増大させる
- まとめ
超高圧送電線に多導体電線が使われるのはなぜでしょうか。
様々なメリットがあり,合理的に多導体電線が選定されて運用されています。
1.コロナによる雑音障害を防止する
送電線の電圧が高くなるにつれて,電線表面の電位傾度が高くなり,コロナ放電が発生しやすくなります。
コロナが発生すると,コロナ雑音による電波障害やコロナ騒音を引き起こします。
単導体電線でコロナを防止するためには電線太さを太くしていく必要がありますが,多導体電線を採用すると比較的細い電線であっても,コロナを抑制できます。
単導体の太い電線を採用すると工事中の難易度が上がり,電線表面を傷めてしまう恐れがありますし,表皮効果によって電線自体の抵抗が大きくなってしまいます。
2.コロナによる損失を低減する
コロナの発生を抑制できれば,コロナ損失の低減にもつながります。
3.許容電流を増大させる
多導体電線は,比較的細い標準的かつ汎用的な太さの電線を用いて面積を大きくできるので,許容電流を増大させられます。
高電圧で生じやすいコロナを抑制しつつ,大きな許容電流が得られることから,超高圧大容量の送電に適しています。
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4.電圧降下を減少させる
多導体電線にすると等価的に単導体電線の等価面積を大きくしたのと同じ効果が得られることから,インダクタンスが減少する。
一方,静電容量が増加することから調相設備と同様な働きをする。
インダクタンスが減少し,静電容量が増加することから,送電線での電圧降下が減少し,送電容量を増大することができます。
5.系統の安定度を増大させる
送受電端間のリアクタンスが減少することから,定態安定度が増大するとともに過渡安定度も向上する。
よって長距離送電に有利に働く。
6.まとめ
いかがでしたか。
山岳部を通過している超高圧送電線では,多導体電線が採用されている理由が分かりましたでしょうか。
コロナ放電を抑えて,コロナ損失を抑制でき,許容電流を増大させつつ,系統安定度も向上させられる。
おまけに,汎用的な電線を活用できることから,コスト抑制や災害対応にも有利に働くなど様々なメリットがありますね。
電験取得は日々の積み重ねが大切。
一緒に勉強していきましょうね。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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